通販事業の命綱となる顧客情報とEメールの保護を目的に、仮想版 Barracuda Email Security Gatewayを導入
株式会社カタログハウスは、1976年に設立され、通信販売を主な事業としています。カタログ雑誌「通販生活」および自社ECサイト「8時だよ!通販生活」を通じて、生活雑貨、家電、ファッションまで多岐にわたる商品を販売しています。今回は、株式会社カタログハウス ネット戦略部 技術チーム部長 上條篤様に、バラクーダの仮想アプライアンス製品「Barracuda Email Security Gateway(仮想版)」の導入とその効果について聞きました。
Q. 御社のECサイトについて教えてください。
カタログハウスでは、小売を担う企業として「買い物のプロ」である弊社のバイヤーが、各ジャンルでこれがピカイチだと考える商品を選出し、販売しています。例えばハンディークリーナーであれば今、マキタのターボのみを販売しています。このような形ですと、商品点数が自ずと少なくなりますから、商品ごとの説明に多くのスペースを割くことができます。一つの商品につき1~2ページで、商品の機能説明と、実際にそれを使って良かったというお客様に近い第三者の声を掲載するというスタイルで商品を紹介しています。こういった口コミの世界は、今ネットの世界で当たり前になっていますが、カタログハウスではそのような世界を長年構築してきました。事業規模は、通販を中心として年間200〜250億円となり、その25%~30%がECサイトを通しての売り上げとなっています。
顧客の年齢層は比較的高く、60~70代が多いですが、近年ではその世代の方もパソコンを当然使われますし、特に最近はスマートフォンの利用率も高まっています。ECサイト内でも半分以上はスマートフォンからのアクセスとなっています。
Q. バラクーダ製品を、どのような経緯で導入されましたか?
これまで使用していたメールゲートウェイ製品が、2021年の1月にサポートの終了をむかえるため、2020年中に切り替えたいということで代替製品を探していました。長年、NTTコミュニケーションズさんにECサイトの運用をお手伝いいただいていて、NTTコムソリューションズさんが実際の運用を行っていらっしゃいます。NTTのセンターに当社の環境が作られています。その中で、2020年9月にご提案をいただき、三つの製品の比較をしまして、ほぼ最初からバラクーダしかないと考えてはいましたが、11月には決定し導入しました。
Q. バラクーダ製品を導入した理由について、教えてください。
通信販売の事業を行っているため、顧客情報は命綱です。この情報を守りたいということで、弊社のセキュリティ意識は非常に高いです。当然、メールを通しての漏洩リスクはありますが、同時にECサイトとしてお客さんと24時間365日コミュニケーション取れることが重要です。それは、ウェブサイトに常時アクセスができることに加え、ECサイトとして買い物がきちんと完了できるというシステムの安定性、お客様からの問い合わせのメールに速やかにお答えすること、自動返信メールが遅延なく届くこと、そういったことの遅延のない実施が非常に大切です。
今は、クラウドの時代なので、様々な製品がクラウドまたはSaaSのような形で提供されていますが、一つはセキュリティの観点と、もう一つはオンタイムで動くという観点から、仮想アプライアンスで同じセンター内にあることを希望していました。なぜなら、クラウド上に出してしまうと、どこにそのデータがいくかわかりませんし、SaaS型ですとほぼ共用型で、他社のユーザーの利用状況によるパフォーマンスの影響が出るリスクがありました。実際に他社に問い合わせたところ、弊社のトラフィック量だと、配信制限がおきてしまうと明言されたので、そういった意味で、自社内でSaaS型ではなくローカル上に立てるということが必須でした。もちろん、石橋を叩くような企業姿勢で今の時代にはそぐわないかもしれませんが、その条件に一番叶ったのがバラクーダ製品であったということです。
また当然ながら、他のゲートウェイ製品からのリプレイスですので、以前から使用していた機能が担保されることも必要でした。
Q. 導入後は、どのような点を評価されていますか?
メールでのやりとりは、お客様との直接の接点になりますので、とても大切に考えています。メールのトラフィックは、自動返信も含めて一日2~3万件となります。遅延欠損なく送信でき、さらにセキュリティチェックの上で送信できるということが重要で、これらのポイントが達成できていることを評価しています。
また、導入時についても、前の製品で使用していた機能は、ほぼそのままの設定で移行でき、バラクーダ製品のコンソール画面は、非常にシンプルなUIでいい意味で複雑すぎないため、設定や移行については構築がしやすかったということが言えます。また、運用についても、今のところ全く何もせずに手放しでほぼOKです。
Q. 特に昨年は、新型コロナパンデミックの影響が大きかったと思いますがいかがでしょうか?
事業に関しては、コロナによって、むしろ需要が増えました。特徴のあるマスクを販売しアクセスが集中したり、ウイルス関連の商品をメルマガで紹介したりすると注文が多く、メールやサイトのトラフィックの集中がありましたが、バラクーダ製品初め問題なく安定稼働していました。
また、コロナとは関係無いのですが、当初から計画されていたサイトのリニューアルを昨年10月に行いました。そもそも通販生活という雑誌自体が、一般のカタログと違う二つの特徴として、カタログハウスが選んだ「これがピカイチ」という製品を紹介していること、商品の情報自体を記事として書き上げていることが挙げられます。商品を売るカタログとしてではなく、商品情報自体を売っているという考え方になっており、カタログであるにもかかわらず 、一冊180円でお売りしていて、半分は商品とは全く関係ない読み物のページになっています。そういった意味で、一つの雑誌媒体として考えています。ECサイトについても、まずは2000年に会員の方がオンラインで購入できる窓口としてスタートし、その後一般のお客様へも開放する形で進化してきましたが、今回は、通販生活のWeb版として媒体としてより個性が出せるようなサイトにしたいというのがリニューアルの大きな目的でした。トップページを見ると、ECサイトかどうかわからないような作りになっていると思います。
対象となるお客さんの年齢層が高いので、特に認知症をはじめとしたシニア層のお悩みに少しユーモアを持って対応できるようなサイトにしています。例えば、年齢によって忘れてしまうようなことを面白おかしく読者が投稿し、それをみうらじゅんさんが解説する「老いるショック」コーナー、「記憶スケッチアカデミー」というナンシー関さんの連載の再録や、毎日続けると認知症予防になるドリル「益件さんドリル」、「コグニサイズ」という体を動かして脳を活性化させる体操を楽しめる「益件さん体操」など、ほぼ毎日更新しています。
ここに来れば毎日面白い記事があるということで、媒体の個性で認知してもらい、ついでにお気に召すものがあれば買って貰えば良いというようなサイトになっており、一般のECサイトと印象が異なると思います。リニューアル以降、滞在時間と1セッションあたりのPV数は150%ほどになりました。セッション自体も、商品によっては150~300%となっており、読まれていることを実感しています。
常連さんが多く、たくさん買ってくださる方は年間で何十万も購入してくださいます。新しい商品は、紙の通販生活でとりあえず購入するというようなお客様も多くいらっしゃいます。
Q. バラクーダ製品は御社の事業にどのように貢献していますか?
お客様とのやりとりを安全に稼働できることが第一です。もちろん、メール周りだけでなく、例えば、ECサイトのログインの際にパズルを入れたり、目には見えませんが不正アクセスを検知したり、Webサイトを全面SSL化したりといったことはできるだけ早め早めに対応しています。そのようなセキュリティに関する部分は、最先端の情報を得て、そのための施策はきちんと実施していきたいと考えています。そういった意味で、バラクーダ製品は弊社の事業に貢献していますし、今後もセキュリティ面で引き続き最先端を走って欲しいと期待しています。