株式会社パスコ様導入事例〜社内DX推進を目指しMicrosoft Teams、SharePoint等のデータ保全を Barracuda Cloud-to-Cloud Backupで実現〜
株式会社パスコは、1949年に設立され、セコムグループの一員として空間情報サービスを提供する航空測量最大手企業です。今回は、株式会社パスコ 情報システム部 部長 加藤裕之様、情報システム部 運用サポート課 課長 西明裕隆様に、バラクーダのバックアップ製品「Barracuda Cloud-to-Cloud Backup」の導入について聞きました。
(左から) パスコ 西明さんと加藤さん
Q. 御社の事業について教えてください。
測量を主たる業務としています。航空写真や衛星やドローンで地形の情報を収集し、地図化・デジタル化し、付加価値をつけた形で提供しています。お客様としては、特に自治体のシェアが高く、例えば、固定資産に関する地図情報を提供しています。ある土地の用途が農地から住宅に変わるなど、土地の活用状況の変化について、地図情報の差分を人間やAIが判読し、間違いがないような状態で提供します。自治体では、その地図を課税に関わる基礎情報として利用します。このように、単純に地図データを提供するのではなく、判読の情報を加えることにより、付加価値を高めています。また最近では、自動運転のニーズの高まりに対応するため、かなり精密な地図が要求されています。これには、レーザーの機械を車載し、マンホールや標識の場所なども含め、細かに情報を取得・判読し、デジタル化していきます。また、民間向けのサービスでは、例えば、出展計画の元となるエリアマーケティング用のデータが必要とされます。なぜなら、一口に夫婦の世帯と言っても、子育て世帯が多いかどうかによっても、売れる商品は異なるからです。この場所に出店をした場合に、事業性があるかないかという意思決定をするための情報であったり、それを分析したりするためのクラウドサービスも提供しています。
Q. バラクーダ製品導入の経緯について教えてください。
社内のDX推進にあたり、様々な変革を進めています。まずは、新型コロナ禍で、ビデオ会議などの在宅勤務環境の整備が課題となり、Microsoft Teamsの導入を一気に進めました。現在も基本的に在宅ワークを推奨していますので、コミュニケーションツールとしてTeamsは欠かせないものとなっています。もちろん、完全に在宅で実施できない業務もありますので、ハイブリッドの勤務体系が今後も継続する想定です。
もう一方で重要な軸として、レガシー化した社内ポータルを、SharePointを使った社内ポータルサイトへ移行するプロジェクトを段階的に進めています。このプロジェクトの中で、施設予約システムをSharePointベースで刷新しようと考え、今年の2月に、Microsoft 365を活用した業務改善を支援している株式会社テンダさんにお声をおかけしました。
このような状況の中で、データの保全が課題となりました。メールやTeamsは、Microsoftの訴訟ホールド内である程度カバーできますし、メールについてはその上でさらにバックアップを行っていました。しかし、今後さらに社内ポータルをSharePointに移行していくとなると、SharePoint領域までカバーするバックアップの必要性が出てきました。自前でプロセスを組んでデータをリプリケーションする方法もありますが、できればベンダーソリューションを利用したいということで、約一年前から検討を始めました。なかなか、適切なソリューションが見つからない中で、ちょうどテンダさんから頂いたマーケティングメールの中に、バラクーダ製品の紹介があり、ご紹介いただく流れとなりました。
Q. 導入にあたって、どのような課題がありましたか?
弊社はセコムグループの一員でもありますし、扱っているデータの性格からも、セキュリティについては、厳しい制約を設けています。例えば、クラウドサービスにどのようなデータを保存するか、といった点もかなり厳密に管理しています。固定資産を扱うシステムに関しては、完全にネットワークを切り離して、絶対にインターネットに繋がらないような環境に置いています。お客さまの個人情報が流出するようなことの無いように、細心の注意を払っています。
そのような制約の多い中で、システムにおいてクラウドサービスをいかに導入し、またそれに対する理解を得るかという点も一つの大きな課題です。オンプレミスのシステムとメールで完結する文化から、単純に運用や利便性を上げるためではなく、セキュリティを守りつつ色々な要素を複合的に考えた上で、クラウドサービスの選定や導入を行う必要がありました。これについては、災害が起きた際の事業計画やセキュリティに関する考えを含め、3ヵ年のIT戦略を立案し、経営陣への理解を促し、プロジェクトを進めてきました。
Q. バラクーダ製品の導入の決め手は?
数社を比較していましたが、まず基本的には、Teamsやメールに加えて、SharePoint領域のバックアップをカバーできることが大前提でしたので、この点をまずクリアしていたことが大きな理由です。
次にやはり費用面です。ITに関しては、セキュリティを考えるとコストを掛ければかけるほど品質は上がります。Teamsやメールなど、Microsoft 365の基本的な部分は、主役として見える部分にありますのでわかりやすいのですが、バックアップを含むセキュリティに関しては、情報システムから見た経営層も含む一般ユーザーには、保険と一緒で効果が見えづらい部分です。このため、限られた予算の中で、バックアップする退避エリアも含めてソリューションコスト内でテンダさんにご提案いただきましたので、その点も差別化ポイントになりました。
Microsoftの訴訟ホールドという形では、ユーザーのライセンスを削除した場合にはデータが消失しますし、保管期限への制限があります。その点で、バラクーダ製品においては、スナップショットで時系列に保全できますし、ユーザーのライセンスが無くなったとしてもデータが無期限で保持されるという点を、評価しています。データの保全については、業務的にデータが失われることに対するリスクと、何かしら不測の事態に備える観点からも重要性は高いと考えています。
Q. 今、実際の稼働に備えた段階で、どのような点が運用のポイントとなっていますか?
SharePointに関しては、サイト作りのSharePointと同時進行でクラウドストレージとしてのSharePointのルールやガイドライン作りを行っています。ずっとメール文化で成り立ってきたところに、TeamsやSharePointの役割について、社内の隅々まで届けていくことに課題感はあります。会社のポータルは、一方通行のコミュニケーションが基本ではありますが、能動的に情報を届けていくためには、Teamsを活用し、より社員が参加するカルチャーを作り出していく必要がありますので、会社の文化の変革を伴います。また、弊社は、新入社員と勤続年数の長い社員を比較すると、50歳以上の年齢の開きがあります。そのような構成で、全員同じITリテラシーを要求するのも無理があるので、職務内容や理解度に合わせたリテラシーをどのように浸透させていくのかという点も大きなチャレンジです。
大事な地図情報を扱う会社として、セキュリティを担保しながらも、社員の利便性や満足度を高めていくのが我々のミッションでもありますので、様々な課題を乗り越えて、しっかり運用を進めていきたいと考えています。